市場区分の見直しは2022年4月4日から施行されることが正式に表明される
- 2021年4月30日に東京証券取引所(東証)が公表した「市場区分お見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」に寄せられたパブリック・コメントに対する東証の考え方が示された。東証の上場制度の再整備は2022年4月4日から施行されることが正式に表明されました。
パブリック・コメントには市場関係者などから39件のコメントが寄せられた
昨年末に公表された原案からの修正や考え方は3点!
【流通株式の定義の見直し】
流通株式の定義はパブリック・コメントで最も多くの意見が寄せられた項目!
原案では下記の式によって流通株式を算定するとしていました。
流通株式数=上場株式数−{①主要株主が所有する株式(10%以上所有)注1 + ②役員等(役員以外の特別利害関係者を含む)所有株式数 + ③自己株式数 + ④国内の普通銀行、保険会社、事業法人等が所有する株式 注2 + ⑤その他東証が固定的と認める株式}
注1:投資信託・年金信託に組み入れられている株式、その他投資一任契約等に基づき運用することを目的とする信託に組み入れられている株式などは流通株式に含まれる
注2:直近の大量保有報告書等において、保有目的が「純投資」と記載されている株式は流通株式に含まれる
今回は主に②、④が原案から修正・考え方が示され
②の役員以外の特別利害関係者の所有する株式の確認方法は原案からの変更がないが東証が確認方法について考え方を示した。原案では、役員以外の特別利害関係者として、1上場会社の役員の配偶者及び二親等内の血族、2役員又は前1に掲げる者が議決権の過半数を保有する会社、3上場会社の関係会社及びその役員、の保有分を流通株式から除く小ことになっていた。
ただし、これらの保有状況把握が難しかったり、把握のための上場企業の負担が大きいため企業が把握可能な範囲で東証に報告するようになった。その場合は東証にその旨と理由を報告することが必要。
④の国内の普通銀行、保険会社及び事業法人等が所有する株式の例外規定である 注2 が修正され、所有目的が「純投資」であって、最近5年間における売買実績があるものを流通株式として取り扱うことが明らかになった。
【新市場区分の選択手続き】
・「市場選択の意向に関する取締役会の決議内容を証する書面」の提出
上場企業は2021年9月〜12月に市場選択に係る手続きとして、東証再編で生まれるプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の全ての市場で共通に求められる書類として「市場選択の意向に関する取締役会の決議内容を証する書面」があり、この書類は東証の所定様式でなく上場企業の取締役会の決議内容の写しのうち、関連する事項を抜粋して提出することを想定しているらしい
・「上場維持基準の適合に向けた計画書」の作成
上場企業が希望する市場に移行するにあたって、東証が設定する以降基準日である2021年6月30日時点で一定の数値基準を充たす必要がある。しかし、これまでに基準を満たさない場合は「計画書」を提出することによって緩和された数値基準が適用されてそれを充たすことで希望する市場に上場が可能になる。「計画書」の作成要領は2021年5月10日の週をめどに東証から上場企業に通知される予定。
【上場維持基準の追加】
上場企業が上場維持基準に抵触し、改善期間内に改善が行われれなかった場合、上場廃止になる。
原案における上場維持基準から各市場で新たに財政状態を示す項目として純資産の額が正であることが加わった。計測的な赤字体質の企業が残り続けないように、上場審査基準と同様に経営成績、財政状態の上場維持基準を設けることを検討すべきという機関投資家からのコメントを一部考慮した格好になっている。
【東証再編による各市場の上場維持基準】
プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 | |
株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
流通株式数 | 20,000単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
売買代金/売買高 | 1日平均売買代金0.2億円以上 | 月平均売買高10単位以上 | 月平均売買高10単位以上 |
時価総額 | - | ー | 上場から10年経過後40億円以上 |
流通株式比率 | 35%以上 | 25%以上 | 25%以上 |
財政状態 | 純資産が正 | 純資産が正 | 純資産が正 |
東証再編について注目して投資戦略を練っておこう
東証再編に伴いこれから日本の上場企業は3つの市場に区分されることになる!
変化の時は投資チャンスであり変化の予兆はチェックしておいて損はないはずです!
今回の再編で一部の上場企業は淘汰されていくだろう(厳密には暫定期間が設けられているため企業の自主的な判断含めてだと思う…)
ここからは企業は流通株式数を増やすために自己株式の売却や政策保有で持ち合いの株式売却、オーナーや資産管理会社で保有していた株式を市場に流通させたりプレスリリースで株主にたいせ発信していく機会も増えると思われるためアンテナを張って情報を収集していきましょう!
皆さまの人生がマーケットで豊かになりますように。